甲板整列(父のノートから)

 或空母で水兵さんが2-3人並ばされていた。

 何故か分からなかったが、工員さんに聞くと要は「タルンドル」と云う事で、並ばされ、上官らしいのが”直心棒”と書いた木刀で尻をどやしていた。更に飛行甲板の廻りを何回か駆け足で廻らされている人達も見た。
 気合が緩むと戦にならぬ為なのか、中学生の私には気の毒に思えて仕方なかった。

 今でもスポーツや相撲の世界にはある鍛えかも知れないが、望まなく召集された人間も一様に試練を受けたのは、ひ弱な私には軍の恐さの一面に見えた。

細馬芳博(昭和4年生)のノートから