第90回、3人が久しぶりに「赤玉」ワインで語り合っている。照子(大島優子)が気安く信作(林遣都)に足を乗せ、喜美子(戸田恵梨香)もそれに乗じて身体を預ける。なんて足癖の悪さ。こんなに足癖の悪い登場人物がかつてドラマで描かれたことがあっただろうか。その、照子の足癖の悪さを描くべく、カメラはまず並んで寝そべった3人を正面から撮り、後方で照子が信作に、手のかわりに足を出すところをうつしている。3人の身体配置を見せるべく、カメラは天井にも設えられており、次のショットではその天井カメラが、足癖をきっかけに喜美子と照子が平面でおしくらまんじゅうをするように信作の身体に乗っかっていくのをとらえている。この構図で見ると、信作の身体は、もはや喜美子と照子の運動場だ。運動場が腕立て伏せをする。2人が転げ落ちる。これらの運動のあとだからこそ、「いまやから言うけど大会」にはいまだから言う勢いがつき、いまだから言ってしまったあとのしみじみした空気が流れ出す。
いい大人がじゃれあっている図、とひとことで言ってもいい。しかし、スカーレットのじゃれあいが、単なるなれなれしさを越え、いつも何か新しいことが起きている気にさせるのは、そこに俳優の思いがけない身体の使い方があり、そして使い方を逃さずとらえるカメラワークがあるからだろう。