1/3 くしゃみと痛み
くしゃみをしたらへなへなとへたりこんでしまった。
そういえば子供の頃、母がくしゃみをして座り込んでしまったのを見て、大人にはそんなことがあるのかと驚いたことがあったが、こういうことだったのか。
くしゃみはギックリにとってとんでもない衝撃だ。少なくとも立ったままくしゃみをしてはならない。手元の筋肉の図解本を開くと、くしゃみは腹横筋や腹斜筋によって補助されているようなのだが、なにしろ腰付近に不随意かつ突発的な振動がくるので、ギックリがきたとき並みの激しい衝撃を受ける。これが、二足で立ってバランスを保つという姿勢を不確定な方向に揺すぶり、バランスの取り直しを強いる。この予測不能なバランスの取り直しの動作がさらに痛みを生む。こうして動作と痛みの連鎖がわずか1,2秒のうちに次々と起こって、へなへなということになる。
くしゃみ問題は、痛みを考えるよい例になりそうだ。こちらが予測を立てる間もなく襲ってくる体の不随意な動作は、強烈な痛みをもたらす。熊谷晋一郎さんは予測とフィードバックされる感覚とのずれを「予測誤差」と呼んだ。やはり、予測が立つかどうかは痛みにとって本質的だ。そして、そもそも予測を立てる暇がない場合は、痛みはとんでもなくなる。へたりこみは、いったん運動を止め、崩れてしまった運動の予測モデルをもう一度立て直す時間でもある。
ともかく、くしゃみが出そうになったらできるだけ手近な場所で体を支えるか座るに限る。とはいえ、ギックリにとっては急な姿勢変化こそ大敵なのであくまでソロソロと、なのだが。
幸い、可動域はわずかではあるが日ごとに広がっている。ただし、これは痛みの範囲が変化しているということでもあり、日ごとに自分の痛みモデルを修正していく必要がある。昨日は怖くて動かせなかった範囲に挑んでみたり、やはりイテテテとなったりしながら、徐々に地図を書き換えていく感じだ。
靴下問題も少しバージョンアップした。片足をもう片方の足に乗せることができるようになった(初日にはこんなことはまるで無理だった)。これで靴下の着脱はかなり楽になった。昨日書いたような床に直接足を横に広げるやり方だと、足を床の上でずりずり引きずるので摩擦が大きい。そこについ力を入れようとしてイテテテとなることがある。しかし、足の上に足をのせるやり方だと、足と足の接する面が小さいので摩擦も小さい。爪先の向きは横ざまになるのだが、これは昨日書いたように、靴下を構える向きを変えることで対応する。もちろん、靴下は先までぎゅっと寄せておく。
昨日はMagicPoserという無料のソフトで描画したのだが、今日は奮発してArtPoseという有料のスマホ用のソフトを試してみた。これ、何年か前にSNSでよく見かけたな。
有料だけあって、ArtPoseでは、腕の付け根以外に、鎖骨と胸骨の付け根部分(胸鎖関節)も動かせるようになっている。腕が肩からではなく胸骨から始まる感覚を説明するには、こちらのソフトの方がよい。