素敵じゃないか (“Wouldn’t it be nice” ) Beach Boys

素敵じゃない? 大人なら
もう待たなくてもいい
そして一緒に暮らせたら
ぼくらにふさわしい世界

いまよりずっといいんだろうな
おやすみのあとも一緒なんだ

素敵じゃない? 目覚めたら
朝には明日だよ
明日もずっと一緒だよ
夜もずっと抱き合うよ

しあわせを分けあうんだ
どのキスもずっと続くんだ
素敵じゃない?

考えて 望め 願え 祈れ
かなう
できないことなんてなくなって笑う
一緒になる
しあわせになる
素敵じゃない?

話せば話すほど
できないことがくるしいよ
でも話そうよ
素敵じゃない?

おやすみベイビー
ぐっすりベイビー
おやすみベイビー
ぐっすりベイビー

(“Wouldn’t it be nice” by Brian Wilson / 試訳:細馬)


 ”Wouldn’t it be nice if we were older” という言い方ができるんだな。大人になるということは「未来」のできごとだけれど、それを仮定法の「過去」で考える。そういえば日本語でも「大人『だったら』素敵だろうな」と言える。いま現在、実現していないことは、それが未来のことだろうと過去にあったことだろうと、仮定の上では過去になりうる。

 曲のほとんどはこの「〜だったら素敵だろうな」という夢で占められているのだが、最後にゆっくりと現在が歌われる。「話せば話すほど/今それなしで生きていること(live without it)がくるしい」。しかしその現在の「live」は、コーラスによってとてつもなく甘く響く。曲は、現在を夢に誘うように「おやすみ」で閉じられる。もしかしたら、イントロのメリーゴーラウンド音楽のようなリバーブは夢の合図で、この曲全体が夢なのかもしれない。