「風船乗噂高閣」河竹黙阿弥(明治二四年)
「浅草観音堂」吉井勇(明治四二年)
「一握の砂」石川啄木
「東京景物詩」北原白秋
「子を貸し屋」宇野浩二(大正一二年)
「十二階下の少年達」濱本浩
「浅草の灯」濱本浩
「浅草十二階」金子光晴
「押絵と旅する男」江戸川乱歩(昭和四年)
「浅草紅団」川端康成(昭和四〜五年)
「帝都物語」荒俣宏
「舞踏病」島田荘司
「ラスプーチンが来た」山田風太郎
「十二階の柩」楠木誠一郎
「東亰異聞」小野不由美
「かの蒼空に」関川夏央・谷口ジロー
「菊坂ホテル」上村一夫
「修羅雪姫」(1)上村一夫
「幽霊のいるまち」(『僕らの変拍子』所収)冬目景
「幻影博覧会」冬目景
「文車館来訪記」冬目景
「花と怒濤」鈴木清順
「緋牡丹博徒・お竜参上」加藤泰
「夢見るように眠りたい」林海象(仁丹塔)
「サクラ大戦」広井王子/セガ
「十二階ひろい書き」喜多川周之(浅草寺文化第1-8号)
十二階研究の第一人者であった氏が十二階と浅草公園について綴った連載。さりげない一文一文に文献渉猟のあとが見えて、数十年前の文章にもかかわらず、いまなお十二階を考えるためのさまざまなヒントに満ちている。詳しくは「喜多川周之十二階関連文書」のページへ。
「浅草十二階」細馬宏通(青土社)
「塔の眺め」(『ユリイカ』に連載 1999-2000)に大幅に加筆改訂。いまのところ十二階については(たぶん)いちばん詳しく書かれた単行本。鴎外、花袋、啄木論など、道草もいろいろ。ってわけで、十二階ファンは是非。
「浅草—土地の記憶」山田 太一 (編)(岩波現代文庫)
「十二階からの眺望」「十二階の下で」と題した章に、田山花袋「十二階の眺望」、前田愛「塔の思想」、金子光晴「浅草十二階」など、十二階にふれた文章が数多く収められている。十二階を含む浅草のイメージを捉える手軽な一冊。
「都市空間の中の文学」前田愛(ちくま学芸文庫)
「塔の思想」をはじめ、浅草、十二階、パノラマなどに触れた論考を数多く含んでいる。本書以外にも「樋口一葉の世界」(平凡社ライブラリー)のたけくらべ試論、「文学の街」(小学館ライブラリー)の「浅草紅団」論など、前田愛の浅草空間をめぐる文章は必読。
「明治の迷宮都市」橋爪紳也(平凡社)
浅草十二階を中心に明治の眺望の誕生に触れた「世俗の塔の誕生」は必読。喜多川周之が「十二階ひろい書」で試みたことをより明解な形で明らかにしている。「パノラマ館考」では、パノラマ誕生の経緯や日本パノラマ館の構造が詳細に紹介されている。
「美術という見世物」木下直之(ちくま学芸文庫)
直接に浅草十二階には触れていないが、生人形、覗き眼鏡、油絵茶屋、パノラマなど、浅草の見世物のきわどさを美術ならぬ美術として詳細に捉えた著作。図版多数。
「元祖・玉乗曲藝大一座」阿久根巖(ありな書房)
十二階の南にあった玉乗り館の話を中心に、絵ビラや土産絵本など豊富な図像資料とともに浅草六区の見世物の雰囲気を伝える著作。末尾に収められた年表から、著者が新聞雑誌を綿密に調べていることが伺える。
「乱歩と東京」松山巖(ちくま学芸文庫)
第四章「追跡する私、逃走する私」に、乱歩の「押絵と旅する男」をめぐる考察があり、十二階建設の経緯についても詳しく記されている。はたしてこの著者の書くように江崎禮二が十二階の仕掛け人だったかどうかは疑問だが、「写真家の建てた塔」という考え方は想像力をかきたてる。
「美人コンテスト百年史—芸妓の時代から美少女まで」井上章一(朝日文庫)
十二階で行われた「凌雲閣百美人」を美人コンテストの嚆矢と位置づけて詳しく論じている。
「東京の空間人類学」陣内秀信(ちくま学芸文庫)
「水の都のコスモロジー」の一文、「前方に十二階を見ながらバロック的空間を北へ進むと、オペラ館のところで右手にぱっと視界が開け、全く異質な水辺の情緒的空間が広がっていた。」は、大正期のひょうたん池と十二階の織り成す空間の魅力を簡潔に言い当てている。
「東京近郊 一日の行楽」田山花袋(現代教養文庫)
花袋の東京案内。十二階の眺望を記した文章が二つ収録されている。
「別冊歴史読本 幕末・明治美人帖—古写真が語る麗しの300人 」(新人物往来社)
「凌雲閣百美人」の美人写真が数葉、鮮明なクォリティで掲載されている。
「東京風俗志」(上・下)平出鏗二郎(ちくま学芸文庫)
明治三〇年に発行された東京案内の復刊。原著を古書で入手することを思えば二冊で二千円は安い。上巻の第十章「歌舞音楽及び諸興行物」に浅草六区の紹介が挿画とともに掲載されている。
「十二階下の女たち」小門勝二(私家版)
荷風について多くの著作のある著者が、荷風と井上唖々の交流などをまじえ、十二階下の女を描いていく内容。ちなみに井上唖々の「小説道楽」は明治文学全集(筑摩書房)の永井荷風の巻に、また「夜の東京」は岩波版の永井荷風全集第二十巻に収められている。
「東京覚え帳」平山蘆江(住吉書店 昭和二七年)
浅草について書かれた章「浅草繁昌記」では、奥山、十二階下の様子がいきいきと描かれている。
「東京繁昌記」木村荘八(岩波文庫)
十二階下に関する文章とともに 「文芸倶楽部」大正二年に掲載された十二階下の地図が再録されている。
「日本の高塔」兵頭二十八・小松直之(四谷ラウンド)
十二階に関しては末尾の「近代高層ビル小史」で触れられているのみだが、それよりも日本全国あらゆる高塔をめぐった結果「よろしく展望塔は、入江の喉や湾内に設けるのがコツである」といった感想が生まれてくるあたりが楽しい。この世の塔のことしか書かれていないのに、読み進むうちに不思議とこの世にない塔に思いを馳せたくなってしまう一冊。
浅草特集号。表紙の山本鼎の絵に始まり、白秋の「浅草哀歌」、木下杢太郎の「浅草公園」など、十二階に関する文章が満載。
「東京印象記」児玉花外(明治四四年 金尾文淵堂)
「浅草十二階論」では、十二階からの投身自殺が取り上げられて論じられている。