ラヴェンナの朝。お寺まわり。
博物館の庭にある小さな教会。
小さいぶん、天井が近く、モザイクのピクセルひとつひとつが美しい。昨日のものが、ピクセルからピクチャーへと溶けてゆく美しさだとすると、今日のはピクセルそのものの美しさ、モナドの美しさというところ。めのうを薄切りにした透過光による明かりとりもよかった。
陽に透けるめのうの色の読書かな
洗礼教会(Battistero neoniano)。洗礼を受けるキリストの顔が超リラックス。
洗礼の水に金色混ざりをり
モザイク使われる石は単に色を違えているのではない。それは透過と反射のモザイクでもある。青・水色(緑が買った)・灰色などは石英の結晶を含んでお
り、いっぽう黒は黒曜石に似ている。それらは透過と屈折、そしてきらびやかな反射をもたらす。いっぽう、肌色や白は長石刑の不透明なもので、ソフトな反射
をもたらす。赤は鋭い割れ口に黒い縞がのっており、にごった反射をもたらす。そして金は、緑の透明度の異なる緑の石にそれぞれ金箔をほどこしたもので、石
の色によって微妙に異なる反射をもたらす。
Ariani。ここにも洗礼のモザイク。鳩が聖なる水を拭きかけており、洗礼者ヨハネはそこに手を添えているだけ。キリストの下半身がそよそよ。花を表
わすモザイクは、まず濃い緑で囲まれており、それが花の輪郭に近づくと薄い緑に変わる。そして、輪郭そのものは金色になり、光は聖性を帯びる。
午後、ラヴェンナから移動するが、これが意外に手間取った。鉄道が不通になっているらしく、バスで中継地点のフェリ?まで移動、これがまた鉄道のひとつ
ひとつの駅に寄っていく路線バス版各駅停車なのだからまだるっこしい。そこからまださらに40分待ちだったのだが、待ちきれずにInterCityに乗っ
てしまう。
ヴェネチアに着くと、駅前の橋にびっしり人。運河には次々と大きなゴンドラが来ては、それぞれに違う色の服に身をつつんだ男たちが、号令に合わせ
ていっせいにオールをあげる。どうやらゴンドラレースのようなものが行なわれているらしく運河を走る船(ヴァポレット)は運航していない模様。しかたなく、重い荷物をひき
ずり、橋に出会うたびにひいこらいいながら(ヴェネチアの橋はいちいち階段がある)、ようやく宿へ。Iris
Hotel。サントマの近くで、宿賃はなかなか高い。空調があるからというので予約してあったのだが、着いてみるとすでに熱波は過ぎていた。
一同くたびれて、レストランでようやく息を吹き返す。