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19990826



 朝、カフェで、窓越しに話すイタリア系の掃除夫。ぼくがぼうっとしている間に彼はどれだけ声を発することか。
 今日は移動日。ベルンからドイツを経由してオランダへ。トルコ系とおぼしき客がカセットでトルコポップスを流している。アコーディオンにどんつくどんつく3連系のこぶしが回っていると、なんだかマレーシアかインドネシアにいるような気がして、そのくせ窓の外に続くのはなだらかな牧草地なので、とても妙な感じがする。

 マインツあたりからライン川沿いを列車は走る。山頂には崩れそうな砦、押し殺すような曇天、川沿いにはCamper vanがたくさん止まってる。Camper van Beethovenなんか鳴らしたくなるな。途中下車したくなる町がいくつかある。なるほど、軽装でユーレルパスとか持ってると、こういうところでひょいと降りる旅ってのができるのだな。そしてトルコポップスと子供の泣き声。

 行き先を書いた切符を買ったぼくは、デュイスブルクを過ぎ、渓谷は平原となり、真っ平らな地平に空、そこに日がさしてくる。オランダに戻ってきた。

 19:58,国境に近いAhnemで降りる。ツーリスト案内所で宿を問い合わせると、近いところはみんなふさがっているらしい。結局駅からバスで15分ほど行ったところにあるペンションを紹介してもらう。「すごく広いですよ。なにしろ4人分を独り占めだから」それはすごい。それにしても昼食抜きでおなかがぺこぺこ。食べるところを尋ねると、ホテルの下がレストランになっているとのこと。

 着いてみると、なるほどそこは、4人用の部屋で、ベッドも4つ、タオルも4つ、スキップできるほどでかい浴室に広いバスタブ。さて飯にしようと思ったら、「すみません、もうキッチンを閉めたもので」じゃ、どこでもいいのでいちばん近くてご飯が食べれる場所は?「うーん、セントラルかしら、歩いて15分ですが。そこなら中華でもイタリアンでもなんでもあります」
 というわけで、森を縦断する大通り沿いに、オランダ人並みに歩いて20分、ようやくそれらしいところにたどり着く。しかし、狭いセントラルだな。それにどこも店じまいを始めている。確かに中華は開いてるけど、「最低お二人様から」メニューばかりがでかでかと書いてあるとってもゴージャスな場所。やれやれ、デン・ハーグみたいに夜中まであちこち店が開いてる町を想像してたこっちが間違ってたよ。結局歩き回って、一軒だけ開いていたイタリアンレストランに入ってスパゲティを注文。値段はスイス並みだったけど、久しぶりに、どろにちゃじゃないパスタを食った。

 そこからまたてくてく戻る。部屋のテレビでMTVと「レザボアドッグス」を交代で見る。テーブルがない。4人分のカーテンを閉めて回る。

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Beach diary