19990825快晴。スイスでは珍しい。暑いスイス。朝からぐったり。そろそろ旅の疲れがたまってるのかも。 とかなんとか言いつつも博物館まわりをこなす。まずはベルン歴史博物館。シーザーの逸話を描いた15世紀のタペストリーの大きさとパースペクティブの大胆さに度肝を抜かれる。これはすごい。何しろ城の大きさと人の大きさがいっしょで、押し入った兵士が城から身体をはみださせてる。これがまた見上げるような大きさなんだな。客はぼく一人。しばらく椅子に座って茫然とする。 そして18世紀以降のコーナーの、活人形の数々。これがまたじつにイヤな、生々しい大きさと表情で、明らかに人形風情でありながら、うっかり話しかけてきそうでこわい。 昔の部屋の展示には、暗さに対する独特の配慮があって好ましかった。しかし、どこもスペースの使い方が贅沢だなあ。 午後は自然史博物館。ここのジオラマがまたすごい。動物じたいのポーズの付け方から、植生や環境の描き方まで、じつに配慮が行き届いている。この動物って一体作るのにどれくらい手間がかかってるんだろう。 特に感心するのが、暗い場所を表現するときの光線の使い方で、巣穴の内部のジオラマでは、わざと暗くしてあって、巣穴の側から光を差し入れる形をとっている。その光量の加減がじつに巧み。ジオラマというより、ひとつひとつが完結した「光の箱」だと感じさせる。 ついでにPTT博物館に行ってみたが、すでにかなり疲れていたし、ICCをバージョンダウンさせたみたいなメディアアートにうんざり。メディアを介することに依存するアートはあっという間に古びる。メディアを針のようにとがらせること。 それにしても暑い。そして相変わらずスイスの外食は、スーパーで買うチーズを除いて最低だ。バテ気味なのでチーズとクラッカーだけじゃ持たないと思い、セルフサービスのレストランでクスクス。これが死ぬほどまずかった。あのいかにも火力の弱そうなコンロでじくじく暖めるのをやめればいいのに。 20時からコンセルヴァトリウムで音楽院の学生(?)オーケストラKontrast Sinfonieorchester Bernの無料コンサート。モーツァルトのセレナーデとクラリネットコンチェルト。Migrosのお持ち帰りパスタのような演奏。それでもテヌートの和音がたっぷりと鳴るときは、モーツァルトって天才!って思ったよ。後半はシェーンベルクの「浄夜」らしいけど、遠慮して帰る。部屋の扉を開けると、ワインのむせるような匂いがお出迎え。 |