凌雲閣登覧寿語六 (三代国貞) 「東京電燈株式会社開業五十年史」より |
凌雲閣は近ごろ稀なる高厦なれば其の雛形を作りて地方の人々に構造の一班を知らしむるも亦強(#あなが)ち無用の事に非ずとて今回画工の國年氏が同閣千分の一の紙雛形を作りて其の他のものに示しけるに何れも之を奇なりとし某商人は遂に申請け近々専売特許を得て凌雲閣中にて売捌く都合なりと。 (読売 明治二三年十月一八日) (2001. 06.02)
三代国貞えがく「凌雲閣登覧寿語六」の右下の方に、気になるものがある。小さな子供がつり下げているのがそれなのだが、この「東京電燈株式会社開業五十年史」に収録された写しではちょっとわかりにくい。ずっと前に、江戸東京博物館でじっさいに版画を見たときに、子供が何をさげているのか、よく見てみたことがある。それは十二階の形をした提灯のようなもの、つまり雛形だった(下図)。 |