Texture Time: 22 December 1996
南彦根 -> 大阪


向かいの男性が置いたキリンラガービール 96/12/22 12:08 「衰退していく街いう感じがするわ」という女性の声 96/12/22 12:09 山科 96/12/22 12:10 トンネルをくぐり始まる会話 96/12/22 12:10 トンネルを抜けキリンラガービールが飲まれる 96/12/22 12:11 風景の遮断と露出がわたしを動かす 96/12/22 12:11 駅が近づき人は黙る 96/12/22 12:11 もうすぐ車内アナウンスをきくことを予期しているように 96/12/22 12:12 ビールは山科駅でのみほされ 96/12/22 12:12 婦人が差し出したビニル袋におさめられ 96/12/22 12:12 「まえあっこの琵琶湖銀行の山科の」 96/12/22 12:13 婦人が指を突き出す、この液晶画面の真上にその指 96/12/22 12:14 この琵琶湖沿線には 96/12/22 12:14 彼女にとってのしるしがたくさんある 96/12/22 12:15 「あっこの山科から守山にうつらはって」 96/12/22 12:15 婦人のバッグには 96/12/22 12:16 vertical とある 96/12/22 12:16 婦人は立ち上がって窓ごしに覗く京都 96/12/22 12:17 男性はまだ座っている。 96/12/22 12:18 線路沿いの建物の表面を子細に検討するように婦人は見入る 96/12/22 12:19 それがここで降りるかどうかのいちばんの目安だというように 96/12/22 12:20 「ここでおりたほうがええわ」という婦人の声で二人は降りる 96/12/22 12:20 カードゲームのようにぼく以外の乗客が入れ代わる 96/12/22 12:21 隣の男性はポケテトをはじめた 96/12/22 12:21 斜め向こうの女性もポケテトをはじめた 96/12/22 12:22 男性はグレイ 96/12/22 12:22 女性のはピンクで、男性はときどき外をみやる 96/12/22 12:23 ブロックが落ちてくるわずかなすきに。 96/12/22 12:23 椿が咲いている 96/12/22 12:23 向かいの女性は雑誌を読んでいる 96/12/22 12:25 名前はわからない 96/12/22 12:25 その隣の男性も雑誌を読んでいる 96/12/22 12:25 二つおりを片手にかかげ 96/12/22 12:26 かかげられたのは日経トレンディ 96/12/22 12:26 ヘッドホンで聞いている音楽は何? 96/12/22 12:27 ポケテトはサウンドオフでプレイされている 96/12/22 12:27 オンにすればロシア民謡が流れるはずだ 96/12/22 12:28 女性はふたつ折りの雑誌を両手で持ち換える 96/12/22 12:29 la 12 96/12/22 12:29 薄い雑誌だ 96/12/22 12:30 山崎で高速が近づき白い壁が見える 96/12/22 12:30 「広くなります名神」 96/12/22 12:31 そばに墓地 96/12/22 12:31 金本セロファン商会 96/12/22 12:33 遅い紅葉 96/12/22 12:34 紅い紅葉と枝になった紅葉が並ぶ 96/12/22 12:34 明治チェルシー 96/12/22 12:35 雑誌は丹念に検討される 96/12/22 12:36 褶曲する面 96/12/22 12:36 風景が、遠く近く視差を設けながら 96/12/22 12:36 一枚板として過ぎるように 96/12/22 12:37 さまざまな形のブロックがおちてくるように 96/12/22 12:37 表われる家々 96/12/22 12:38 遠い万博 96/12/22 12:38 小学生のころ、開催中の万博の見える丘でよく遊んだ 96/12/22 12:39 枚方から千里ヶ丘まで直線で10数km 96/12/22 12:39 晴れた日には万博タワーが見える 96/12/22 12:40 見える距離を見るよろこび 96/12/22 12:41 眠る女性 96/12/22 12:41 雑誌は膝におかれ 96/12/22 12:41 隣の男性に傾き掛けて目覚める首 96/12/22 12:42 頭をすこしなでつけて、 96/12/22 12:43 首を窓側に据えなおして 96/12/22 12:43 また眠る細い首 96/12/22 12:43 ポケテトは23200点だ 96/12/22 12:43

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