Texture Time: 22 December 1996
南彦根 -> 大阪
向かいの男性が置いたキリンラガービール
96/12/22 12:08
「衰退していく街いう感じがするわ」という女性の声
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山科
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トンネルをくぐり始まる会話
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トンネルを抜けキリンラガービールが飲まれる
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風景の遮断と露出がわたしを動かす
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駅が近づき人は黙る
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もうすぐ車内アナウンスをきくことを予期しているように
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ビールは山科駅でのみほされ
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婦人が差し出したビニル袋におさめられ
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「まえあっこの琵琶湖銀行の山科の」
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婦人が指を突き出す、この液晶画面の真上にその指
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この琵琶湖沿線には
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彼女にとってのしるしがたくさんある
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「あっこの山科から守山にうつらはって」
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婦人のバッグには
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vertical
とある
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婦人は立ち上がって窓ごしに覗く京都
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男性はまだ座っている。
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線路沿いの建物の表面を子細に検討するように婦人は見入る
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それがここで降りるかどうかのいちばんの目安だというように
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「ここでおりたほうがええわ」という婦人の声で二人は降りる
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カードゲームのようにぼく以外の乗客が入れ代わる
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隣の男性はポケテトをはじめた
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斜め向こうの女性もポケテトをはじめた
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男性はグレイ
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女性のはピンクで、男性はときどき外をみやる
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ブロックが落ちてくるわずかなすきに。
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椿が咲いている
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向かいの女性は雑誌を読んでいる
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名前はわからない
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その隣の男性も雑誌を読んでいる
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二つおりを片手にかかげ
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かかげられたのは日経トレンディ
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ヘッドホンで聞いている音楽は何?
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ポケテトはサウンドオフでプレイされている
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オンにすればロシア民謡が流れるはずだ
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女性はふたつ折りの雑誌を両手で持ち換える
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la 12
96/12/22 12:29
薄い雑誌だ
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山崎で高速が近づき白い壁が見える
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「広くなります名神」
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そばに墓地
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金本セロファン商会
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遅い紅葉
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紅い紅葉と枝になった紅葉が並ぶ
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明治チェルシー
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雑誌は丹念に検討される
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褶曲する面
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風景が、遠く近く視差を設けながら
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一枚板として過ぎるように
96/12/22 12:37
さまざまな形のブロックがおちてくるように
96/12/22 12:37
表われる家々
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遠い万博
96/12/22 12:38
小学生のころ、開催中の万博の見える丘でよく遊んだ
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枚方から千里ヶ丘まで直線で10数km
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晴れた日には万博タワーが見える
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見える距離を見るよろこび
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眠る女性
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雑誌は膝におかれ
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隣の男性に傾き掛けて目覚める首
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頭をすこしなでつけて、
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首を窓側に据えなおして
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また眠る細い首
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ポケテトは23200点だ
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