Texture Time: 19 February 2001
京都 -> 南彦根
こちらを向いたバスケットボールのゴールは、なにかをいれてくれと誘っているようにみえる。
2001.2.19 13:07
それは「おいしい野洲米」という農協のメッセージににている
2001.2.19 13:08
比良山の足元はかすんで、山の頂上だけが幻燈のようにうきあがっている昼間
2001.2.19 13:08
オプションキーを探っている
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線路が急にカーブを描いて合流するのを
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電車から見るとそれは
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ありえないことを速度の力でやってのけているような
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強引な行為に感じられる
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野洲で停まり
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線路は強引さから開放される
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敷石のひとつぶひとつぶが確認される
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比叡山には雪がつもっていないので、山はただのシルエットに見える
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雪のつもった部分だけが明るくともる
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表面色として浮かび上がる
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能開センター
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能力を開発するということばを
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能開とちぢめたとたんに
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閉じられた空間が開かれ
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そして開かれるべき空間を能ととらえる
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逆の思考が立ち現れる
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静止した世界を走らせているだけでなく
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世界もまた動いているのだという証拠に
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トラクターがあぜに乗り上げて車体ががくりと傾くのを見る
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青いシートを広げる男を見る
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その青いシートを何のために広げたのかを見損なう
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コンクリートの上を葉の落ちたツタ
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の枝が這っているのを見る
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sono ikusakiwo miusinau
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草津シティーホテル
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エージェント
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とがずに炊けるお米
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文字だけが的確に意味を剥奪され
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ただ読むことをうながす
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たかつきまでかくえき
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という声さえも。
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梅津繊維株式、と書かれて
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残りの部分が壊されている建物
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壊された断面から屋根の建材が繊維のように垂れ下がっている
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耕運機を手押しする人は近くにあって、湖の向こうの比叡山とは混じらない
2001.2.19 13:25
川沿いを車いすを押してくる人、そして車いすに乗る人もまた、
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遠い景色とは切り離されている
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それは、牧水の、「染まず漂う」白鳥でもなければ
2001.2.19 13:26
独歩の「忘れえぬ人々」でもない
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この地形、このスピードが、湖、遠い山と
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人々を切り離す
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けして親密でも孤高でもない
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偶然の一手が絶妙の一手に裏返るような
2001.2.19 13:28
ひらめきによってまなざされる
2001.2.19 13:28
その裏返りの気配を嗅ぎ取るために
2001.2.19 13:29
文字を文字として稀薄化する
2001.2.19 13:29
せたとぜぜをまちがえる車掌のように
2001.2.19 13:29
声の事故を待ち望む
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疎水を長靴をはいて歩く老人が、列車の速度から見てなお
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川筋に拘束された歩みを保ように
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大津に近づき、
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比叡山はまぢかくなった
2001.2.19 13:32
薄い影だった山肌にはもう尾根や谷を覆う常緑樹によって山襞があらわになっている
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その向こうに幻燈の比良山
2001.2.19 13:34
キャッシングの看板が立ち並ぶ町
2001.2.19 13:34
山をくぐるトンネル
2001.2.19 13:34
この轟音を抜ければ、もう山は近すぎて見えないはずだ
2001.2.19 13:35