- 20010304
- 朝からスターバックスで原稿(こればっかり)。しかし日曜で人が多すぎるので、いったん宿に引き返してフィニッシュを決め、とりあえず約束の三章分送付。
大荒れの天気との予想通り、外は雨が降り出し真っ暗。気分転換に東洋館へ。東洋館は元フランス座で、今は浅草演芸ホールの姉妹館として漫才や落語をかけている。 入るといきなり寒空はだかが始めたところだった。客が少ないな。露骨なアクビをする老人もいるが、批評的アクビなのか単にそういう人なのか分からない。真空ギターは本当に「真空」だった。今日の天気のせいか会場の雰囲気は微妙に殺伐としていて、おそらく彼独特のスベリ具合になるはずのところが本気でスベッていてやりにくそうだった。それでも「東京タワーの歌」にはその殺伐さをぶち抜く脱力の立ち方。東京タワーにのぼっタワー。そうなんだ、塔はヌケて立つ。NHKの堀尾アナにちょっと似たマイウェイ昌彦の踊るときの靴下たのし。方言つかって癒し系という、ある意味漫談の王道ともいうべきたんごしんの長丁場。アンクルベイビーの芸の達者さにうならされる。あの短身で足を上げながら玩具のような動き。いや、このお二人はほんまにうまいわ。宮城けんじによるWけんじの思い出話で中入り。小林あずま、殺伐とした気分をさらに殺伐とさせる猫の死骸だの画鋲だのとうそ寒いネタの応酬に客は引きまくるが、最後に本人も半ばマジギレ状態で繰り出した自殺未遂話になぜか笑いと「がんばれよ」の声が出る演芸の不思議。「いまごろおそいんじゃ」と引っ込む小林あずま。こうた・ふくた、電光石火の左肩スーツ噛み。よく痕がつかないな。三太・良太の浪曲漫才。安心してうまい芸に浸れるヨロコビ。和才・洋才、ごめんなさい。ひでや・やすこ、「枯葉よー」を「アロハヨー」と間違えたのはマジなのか、やすこの笑いが止まらなくなり、許さないよで許ざざるをえないひでやの商売ぶり、夫婦ぶり。トリはWエース、本日の客席38人、と言うので目で追ったらほんとにそんなもんだった。これだけ出演者がいて入場料2500円で38人なら、ギャラが出るか出ないかくらいの入りだろう。おもしろうてやがてかなしき、どころじゃない。見てるそばから天気と客足のわびしさが芸にはねかえっているのがわかる。にもかかわらず、不思議と見ていて苦痛ではない。奇跡のように持ち時間を生き延びていく演芸にやられている。なにがかなしゅうておもろし。
外に出ると晴れ。しかしうそ寒い。カレー食って地下鉄乗って新幹線に乗ると吐き気と寒気がする。ようよう家にたどりついたらえらい熱だった。演芸知恵熱? 布団を山ほどかぶって寝る。
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