20000810

　午前は部屋で買い集めた資料を読み直しながら作業。机が手ごろなのはありがたい。

　ルツェルンで憂鬱なのは、あいかわらず安くてうまい店が見つからないこと。レストランはどこも14Sfrから。Coopは多少マシな値段だがそれでもソーセージにゆでたマカロニと生協的野菜の付け合わせで9Sfr。まあでかいソーセージではあるけど、もうちょっと安くなりそうなもんだ。こんなとき頼りの庶民派ケバブ屋が近くにあったかと思うと、肉をあぶっている様子もなく、乾いた肉の細切れをレンジで半端に温める激マズもので7.5Sfr。マクドもあいかわらず高く、セット通常価格9.9Sfrはハンバーガー１００円セールの国から来た人間ならショック死する値段だ。トレーニーが表で脚組んでマックシェイクすすってるという日本では考えられない光景にお目にかかれたりするのがご愛敬。もっともこういういい加減さは嫌いではない。

　とにかく、ちょっと外食、という価格帯が少なすぎる。というわけで、手軽な外食としてはCoopのサラダバー。さもなけりゃスーパーのクラッカーとミニサイズのチーズ（蒟蒻畑みたいな形と大きさ、一個0.8Sfrで種類いろいろ）がおすすめ。同じミニサイズでもスイス版６Ｐチーズ、Gerberの１２Ｐチーズは塩辛いだけでチーズ大国にあるまじき味なので注意（と去年も思ったはずなのにすっかり忘れていたから書いておく）。ビールも高いが、日本に比べればマシだからがんがん飲む。肉が食いたけりゃホテルの朝食にハムが出るからそれを食う。ビタミンＣは？　フロントに置いてあるリンゴを食う。

　インフォでFlohmarkt Haus （蚤の市ショップ）の場所を聞いて鉄道路線のはずれに行ってみる。
　倉庫のような家に作りつけの階段と２階がある。足元はがたがた。かなりゴミ度が高い。が、無秩序というわけでもなく、あちこちで古いものは古いもの、音の出るものは音の出るものといったぐあいに塊ができている。しかし一つに統一されているわけではなく、たとえばレコード置き場が４つも５つもある。まあ、かたまってないよりましだ。
　そんなかたまりの一つに古い本の寄せ集めがあり、中に1906年のルツェルンガイド。80Sfr。寄せ集めにいるわりにはいい値段だ。が、地図のできはいいし、今世紀初頭の観光事情も伺えるので買い。上の写真はその中の広告。
　もう一軒、ルツェルンで唯一という古本屋でジェノヴァの手帳型パノラマと２０年前のブルバキパノラマのカタログ。手帳型パノラマはよく見かけるやつだが、写真からおこした曲線がマイルドで、鉄道や船舶の輪郭がカサンドルぽくていい感じ。

　帰ってビール飲んでまたひと仕事。
　ワイン飲みつつ９４年前のルツェルンガイドを見ながら、一昨日寝台列車が通ったコースを確かめる。そうか、６時前にとっとと眼を覚ませば、朝もやかかるレガノ湖の橋を渡る絶景が見れたんだった。そしてあの長いトンネルはアイロロからゲーシェネンだ。このあたりのピークはどれも3000mクラスで、あの雪をかぶった山は谷あいから見えたからDamrma St.か。
　それにしてもロカルノってレガノのすぐそばだって知らなかった。いまごろ映画祭やってるんだろうな。

　ここのところ天気がよさそうなので、ホテルでピラトゥス山への周遊チケットを予約する。「ピラトゥスからの長めの第一印象はあまりに圧倒的で、すみずみまで観察しようと自分を落ち着かせるまでにかなり時間がかかるでしょう」いやあ、待ちきれないな、９４年前の煽り文句だけど。