月別 | 前日 |翌日



19990812



  さて、こんな上等な宿にずっといたら干上がってしまう。ってわけで宿替え。駅からは少しあるけど60DMのところがあるので、そっちに移る。

 「・・・は教会のすぐそば。マーケットが目の前で食材の調達もらくちん。雰囲気もとても家庭的でした。(彦根市・匿名希望)」

 なんて、地球の歩き方に投稿してどうする。ちなみにシュトゥットガルトの駅構内には電話のできるホテル案内表示があって、値段も場所も載ってるから、そこから好きなのをチョイスするとよい。
 さて荷物も置いたしぶらぶらするか。まずお隣のいやというほど人形が飾ってある店に入る。玩具屋なんだけど、ゲームソフトよりは圧倒的に物の方が多い。時節柄スターウォーズのポスターがあちこち。
 でもって、2Fに上がると今度はLEGOだらけ。さらに3Fに上がると、ここは鉄道模型パラダイスだった。その趣味がないぼくにもぐいぐい物欲がわいてくるその品揃え。特にジオラマ用品。家のおもむき、屋根の形、樹影などなどいかにもドイツでんな。このちっちゃい人のパッケージなんかそのままジオラマじゃないか。
 さらにぐっと来たのがWochellerという会社のシリーズ。あ、これデルフトで買った昔のカタログに載ってた蒸気機関モデルじゃないか。そしてこっちは、旋盤だの穿孔機だの。で、どれもベルト用の滑車がつけてある。そしてそして、これなんかハサミ研ぎ屋だよ。紙やすりが巻いてあって、回転させると火花が飛び散るのだな、これが。そしてこれにも滑車が付いている。回転マニアには涙が出る品揃えだ。蒸気の力で旋盤がうなり穿孔機が貫きハサミが鋭くなりメリーゴーラウンドが回るスチームパンク模型を妄想して、思わず手が出る。
 で、結局気が付いたら買ってたのが、アルプスの前で憩う人々とハサミ研ぎと、ぱちんぱちん無骨な音のする手回しオルゴル。世界構築の意志に欠ける選択だ。

 おっと本屋だ。そしてけっこう本がある。これは紀伊国屋クラスかな。もっともそれほど客はいないので、ゆっくり立ち読みできる。店員の説明もえらく詳しい。後先考えずにあれこれ買う。

 街は日食のあともしばらく夏祭りであちこち屋台のパラソルが出てる。駅前通りはストリートミュージシャンが多くて、けっこううまいのがいる。タイプライターの倍くらいボタンのあるアコーディオンでバッハを弾く男。蛇腹を使ったダイナミクスがすごい。カセットを買う。通りの真ん中ではケーナで喜多郎もどきの演奏をやってて人だかりがしている。
 そんな中で、気が向いたときに気が向いたように叩いてる、やる気のありそでなさそな男。そばで数人のバックパッカーが座り込んでなごんでいる。ちょうどリュックの中にアムスで買った口琴があったので、びよんびよんさせながら近づいて一緒に演奏。
 太鼓を叩いてたのはアナトルというポーランド野郎。なごんでたのは、マチルダとレジーナとそのボーイフレンドで、スウェーデンからきたという。で、その後は人通りが少なくなるまでぽこぽこびよびよ。通りに座って音を鳴らしてると、観光客の目線がよくわかる。「なんか日食も終わって暇だから買ってきたの」という色鉛筆で、レジーナが絵を描いてくれた。いいね。ひげと違う線でひげの面になってるのが気に入ったよ。稼いだ金でビールと夕食を買ってきて、それぞれの国のことばで乾杯。

月別 | 前日 |翌日






Beach diary