さて夜です。
8:55
これは大学から駅への最終バスです。
土曜日のせいか、客はぼくしかいません。
バスは定刻まえしんぼうづよく客をまち、
そしてやはり客はぼく一人です。
というと閑散としてるみたいだけど、
じつはこのキーボードはにぎやかしくここを
ぼくの居場所にしてしまう。
で、窓の外をみながらうちます。
そしてまた橋をわたります。
もう湖は暗くてそこに水があるかすらわからない
遠い明かりがみえ
こことそことのあいだにだだっぴろいくらがりがあるだけです
そして
あっという間に次の停留所、また次の停留所を過ぎ
誰ものりおりすることもなく
アナウンスだけがせわしなく流れ
ほかほか弁当のほかほかだとか
お食事処たらふくのたらふくだとか
食べることに関するメッセージがやたらと目につき
そしてまただだっぴろいくらがり
しかし自動販売機の点々としたあかりが
そこは湖ではないことをしらせます。
停留所の名前がとつぜんわりこんでくる思考のように感じられ、
信号でたちどまる時間が思考のたちどまりのように思われ
四季のステーキ、の看板が思考のステーキのように
フジカラー、が思考のカラーのように
思考が思考をおいこしていく。
そして
やすらかにそして永遠に、という
葬儀屋の看板を過ぎると、
駅はもう間近です。



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