- 19991121
- 動物行動学会で思いついたことをメモ。
進化とは選別の過程なのだから、選ばれるものと選ばれ損ねるものが生じる。進化の最前線が安定状態だという保証はない。選ばれ損ねることに注意すること。スリップは選ばれたものと選ばれなかったものを同時に明らかにする。選ばないという行為もまた、次の行為の資源となる。
コミュニケーションは進化の産物かもしれない。が、それは最適状態だという保証もなければ、最適状態のセットだという保証もない。コンマ1秒単位のコミュニケーションを見ていくと、そこには行為の屍が累々と横たわっている。そして屍でさえ、次の行為の資源になる。
資源とおっしゃいましたが、情報、ということばは使われないのですか?と質問された。情報、といえなくもない。が、情報、ということばには、どこかあらかじめ役にたつことを保証されてるような響きがあって避けてしまう。そうじゃない使い方があるのは知ってるんだけど。
認知には時間がかかる。だから認知は現象に遅れる。そして全知全能の認知はありえない。限られた時間と場所しかスキャンできない。限られた時間と場所をめがけて行為を起こし、それがたまたま別の限られた時間と場所にヒットする。別の行為によって、ヒットしたことを事後的に知る。そのことをあたりまえと思うのは、恋愛をあたりまえだと思うのと同じくらい鈍感なことだ。
Aがオフになる。次にAがオンになる確率は0ではないが低い。いっぽう、わずかに遅れて、Bの行為がオンになる確率が上がる。ただしAがオンになると、Bのオン確率はキャンセルされる。ただしここに認知の遅れがあって、BがAのオンに気付いたときは、もうBがオンになっていることがある。
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